筋膜とは
筋膜とは筋肉を包む膜
筋肉は、筋膜という薄い組織膜に包み込まれています。筋膜に包まれた筋肉は、さらにグループごとに筋膜に包まれています。
全身に連なる膜組織 ≒ 全身タイツ
筋膜とは筋肉を包む膜のことで、ボディースーツのように筋肉や骨、靭帯などの体を構成する組織を表層から深層まで立体的に包み込み、組織を支える第二の骨格であるといわれています。
筋膜は、
- 筋全体を覆っている最外層の筋外膜
- いくつかの筋線維を束ねて覆っている筋周膜
- 筋線維1本1本を包む筋内膜
以上の3種類に分けられます。
この筋膜は柔らかい組織なので、委縮・癒着(ゆちゃく:からまる、くっついてしまうこと)しやすい特徴があります。
この筋膜の委縮や癒着が時にコリや痛みを招き、筋肉の柔軟性を損なう原因になります。
筋膜の役割
筋肉の柔軟性が低下すると動きづらくなる
筋膜は痛みや姿勢、運動のコントロールに重要
筋膜には様々な重要な役割があります。
- 各組織を包み込み、組織と組織の間に仕切りをつくり分けると同時に結びつけ、体の姿勢を保つ役割を持つ
- 組織同士がこすれあうことで生じる摩擦から保護する
- 筋膜は、筋線維を包んでいる3つ(筋外膜、筋周膜、筋内膜)に構成された構造から、筋線維の動きを支え、力の伝達を行う
以上の3種類に分けられます。
筋膜自身はコラーゲンでできており、85%が水分です。
水分の枯渇やストレス、同じ姿勢での長時間作業(パソコンやデスクワークなど)、筋肉の柔軟性の低下などにより、筋膜同士が癒着してしまい、筋肉自体の動きを阻害してしまいます。
筋膜の構造
痛み・しびれ・自律神経の乱れなど身体の不調の原因に
筋膜は全身を覆っている組織で、結合組織と言われる組織に含まれます。
「結合組織」とは、身体を構築する組織の一つで、浅筋膜や深筋膜、靭帯などが含まれます。結合組織はコラーゲン線維やエラスチン線維と水やヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸などの最近耳にする成分からなります。
身体が正常であれば、この結合組織の柔軟性は適度に保たれていますが、何らかの原因で結合組織の柔軟性が失われると身体の不調の原因となります。さらに、長年経過すると、姿勢のゆがみ・痛み・しびれの増強、可動域の制限、運動・生活の制限にまで影響する場合があります。
筋膜の変化の主な原因
- 骨折や怪我
- 手術
- 関節の固定(ギプス・コルセットなど)
- 不良姿勢(骨盤の歪み)
- 筋肉の使い過ぎ
- 内臓の病気、肥満 など
筋膜の他に神経も膜に覆われていて、神経痛などは神経膜の変化で神経の緊張を引き起こし、痛みや動きにくさを及ぼす原因になります。
身体を包む膜には結合組織の成分であるヒアルロン酸などが多く含まれており、身体の動きをスムーズにする役割を果たしている為、柔軟性を失っている膜に対して施術を行う事で本来の柔軟性と動きを取り戻す事ができます。
例えば、腰や背中に痛みやコリのある方は、おしりやふともも、股関節部位などの「痛みのある部分の周り」の筋膜をリリースすることによって、症状を改善することができます。肩などの痛みなども同様で、肩や首、腕やわきの下などの筋膜をリリースすることによって、改善することができます。
筋膜リリースとは
筋肉の柔軟性を引き出し、関節の可動域を拡大する
とても柔らかな組織で出来ている筋膜は、萎縮や癒着しやすいという性質を持っています。
この筋膜の特性が、肩こりや腰痛などに起こる「コリ」「痛み」「すっきりしないという不快感」の根本的な原因になっていることが多いです。その原因を作る筋膜にアプローチし、筋膜の萎縮や癒着を減少させることで、動きを滑らかにしていきます。その方法が、筋膜リリースです。
当院の筋膜リリースでは、筋外膜を含む深筋膜に対して行います。
身体の部位によって「深筋膜」は筋外膜や腱膜筋膜、胸腰筋膜、腹直筋鞘と名前を変えて、2〜3層のミルフィーユ構造を作ります。その為、柔軟性の低下を起こしている筋膜層へ特別な施術を行う必要があります。この何層に重なる膜の柔軟性低下が身体のあらゆるところで起こると、なかなか良くならない慢性的な身体の不調となります。また、風邪などの症状と同様に不調は早めに対処する事で、慢性的な症状を予防することにも繋がります。
複雑な筋膜の層構造の不調による症状の為、ストレッチやマッサージ、温めるといった温熱療法では改善されない理由がこれになります。